生活道具

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作家紹介

暮らしのなかの布と鉄
2015.07.23



暮らしのなかの布と鉄

      藍染めは、色が徐々に落ちていく過程を楽しむことができ、また使い込んだ先に染め直す楽しみもあります。柿渋染めは、日にあたるとだんだん濃くなりますが、やがて繊維の中の染料が抜けていくと薄くて優しい色合いに変化します。藍や柿渋で染め直すと、弱っている生地が丈夫になります。omotoのものは基本的に仕事着なので、丈夫で毎日ジャブジャブ洗って、繰り返し着られるようにしたいのです。染めは、天候や空気によって仕上がりや色味がちがってくるのがやっていて楽しいところです。全く同じものは作れません。藍染めは冬の方が色が入り、染めてから1年ほど寝かせると色が落ち着く。反対に、柿渋染めは夏の方が色が激しくなります。水と空気と太陽の力でできる、本当に自然から生まれた色なんです。(智子さん)

      僕の小学生時代はカッターなどなく、肥後守(簡易折り畳み式ナイフ)で鉛筆を削りました。研ぐことは昔から好きで、祖母の包丁を研ぐ姿を見様見真似で覚えたこともあり、肥後守も砥石で研いで手入れしたものです。自分で手入れすると、持ち物との距離が近くなる。特に包丁は、切れ味によって食べ物の味が劇的に変わります。鍛冶屋は自分が作ったら終わりではなく、作ったものとずっと付き合います。包丁を見れば、使い手の性格や癖が大体わかります。包丁によっては、研ぎに2日、3日かかることもある。大変だけど、僕の手を離れた包丁がどんな姿で戻ってくるか楽しみでもある。割には合わないけれど、好きなんだよね。物を大切にしてほしいと思うから、研ぎの仕事はやめられないし、みんなにもぜひやってもらいたい。(康人さん)

      もともと東北では綿が育ちにくかったことから、布が大切にされてきました。「小豆3粒包める布は捨てるな」という言葉があるくらいです。私自身、気に入っているシャツやスウェットの袖口なども繕ってずっと着ていますし、ふつうなら捨てられそうな小さな端切れも、捨てずに大切にしています。穴があいたら繕うのはもちろん、使用頻度が高いと思われるところや、生地の厚みが少ないところにはあらかじめステッチを多く入れて、強度を増すようにしています。たとえば鍋つかみだったら、つかむときに合わさる部分などがそれにあたります。omotoのものは、くりかえし繕って着てもおかしくないようなデザインのものを作っています。大事に、長く着たり使ったりしてほしいと思うのです。(智子さん)


      かぐれ