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座談会・レポート

イベントレポート ~藍染めの会~
2015.10.22

イベントレポート ~藍染めの会~
織裳由加理(ジョイナス横浜店スタッフ)

織裳由加理(ジョイナス横浜店スタッフ)

横浜市生まれ。
専門学校を卒業後、京都・大原の染織工房に勤務。
2014年よりかぐれ勤務。染めイベントを担当。現在の目標は糸車を手に入れること。

2015年7月18日。雲の切れ間から太陽が覗くなか、表参道の一角にあるかぐれ表参道店の街野原で藍染めの会は始まりました。
昨年、染織をしながら長く暮らしていた京都を離れ、かぐれに出会って藍染めイベントの担当となった私は、東京のど真ん中にこんなにもたくさんの藍染め好きな人々がいることに驚き、どことなくわくわくそわそわしながら当日を迎えました。
そんな藍染めの会のレポートです。ご参加いただいた方も、まだ経験されていない方も、ぜひ最後までお付き合いください。

かぐれの洋服のなかにも天然染料で染められたものがあります。

天然染料

鮮やかなピンク、落ち着いた渋みを感じさせるグレー、ぱっと明るく、優しく光るような黄色。
そのなかでも誰もが一度は目にする魅力的な深みを帯びた、青。
ご存知の通り、昔から絣や畑作業の野良着に使われてきた藍染めの洋服。民間療法として生薬は毒虫の刺傷に、その独特の香から虫よけに利用されるなど、人々の暮らしに密着したものでした。日本最古の歴史書『日本書紀』にも登場する染料です。

そもそも藍染めとは何か?きれいな藍色に染まった洋服や着物は思い浮かぶけれど、いったいどうやって染めているのか?
今回のイベントでも最も参加者の皆さまが気になっていたことだと思います。

日本では古来より蓼藍(タデアイ)という植物が藍染めに使われてきました。

蓼藍の葉

まだ寒さが残る3月に種を蒔き、丹念に栄養と水を与え続けて旬を迎えた夏、蓼藍の葉だけを収穫し、藍師と呼ばれる熟練の技術者たちが寝床という小屋で数ヶ月間葉を発酵させます。発酵により一見土のように変化した藍の葉を、灰汁・麹・日本酒等と一緒に甕の中でさらに熟成。液の表面にぷくぷくとした泡「藍の華」がたてば、藍建て、つまり伝統的な藍染めの染液が完成します。

文章にするとたった数行で終わってしまいますが、一度に染める藍の葉の量は膨大。実際には途方もない時間と、たくさんの人の手で作り上げるかけがえのない作業です。
今回のイベントは時間が限られているので、事前に藍染めの染液を用意。染めの作業を皆さまと一緒に行い、まるで生きているかのように目の前で染まっていく瞬間を動画に残すことができました。

7月と8月の全2回を合わせると、参加者が70名近くというなかで一番印象的だったのが、染め直しでお持ちいただいた洋服です。
シミが付いてしまった白いシャツ、日に焼けてしまったワンピース、お母さまから譲り受けたブラウス、まだらになったジーンズ……参加者全員の思い思いの洋服がかぐれという場に集まりました。
「恥ずかしくて見せられない」という言葉のなか実際に生地を拝見していくと、何とも言い表せない不思議な愛着や歴史を感じずにはいられませんでした。

用意した藍は、最初から青い色をしていません。透き通った若葉色の染液に生地を浸し、ゆっくりと藍の中で生地を泳がせ、糸の中まで藍が入ったところで引き上げて空気に晒し酸化させます。

藍染め

藍の葉には無色透明のインディガンという成分が存在し、空気に触れることによって青の色素インディゴへと変化します。
無色だった生地が引き上げた途端、青い色へと変わっていく様子はまさに藍染めの醍醐味。その場にいる全員の目が藍に引き込まれていきます。
色が完全に変われば染まった合図。
そこからは皆さんの好きな色になるまで、何度も何度も繰り返し染めていきます。
前日に台風が関東を過ぎ去ったこの日、小雨が降る時間帯もありましたが皆さん黙々と作業を重ね、藍と向き合う濃密な時間となりました。

できあがってみると、元は同じ藍のはずなのに全員違う色をしています。

「染めには自分が出る」

初めて染色に出会ったときの、心から離れない言葉です。
植物から染料をいただく工程で、液に浸す時間・力加減・生まれた環境で培われた好みの色・それぞれの手の温かさ。何かはわからないけれど、藍以外による影響で生まれた個々の色の変化は、染色以外の手仕事でも言えることではないでしょうか。

藍染めをしていると、しばしば藍はよく落ちる、と言われます。きっとこれからも言われ続けるでしょう。
本来藍は水に溶けにくい染料ですが、アルカリの液では溶けやすい性質を持ちます。普段の洗濯は水かぬるま湯で。少し汚れが気になるときは少量の固形石鹸・もしくは中性洗剤で必要以上に藍を落とさないように洗ってください。
藍の色落ちで一番の原因は、使わないこと、だと私は感じています。ぜひ藍の洋服をお持ちでしたら、たくさん身につけてください。そして、たくさん使い込んでください。

また来年の夏、皆さまが育てたそれぞれの藍の色に出会えることを、楽しみにしております。


関連イベント

10月31日(土)、かぐれジョイナス横浜店1周年を記念して、藍染めの会を開催します。
JOINUS the DIAMOND屋上・ジョイナスの森で、青空の下、藍のお話をしながら自然の色を体験していただきます。ぜひご参加ください。

【詳細】
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かぐれ