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特集

enrica×かぐれ×PINT Vol.3
かぐれのワードローブ#02–2
2017.10.09

enrica×かぐれ×PINT Vol.3 かぐれのワードローブ#02–2

島田 絢子(表参道店スタッフ)

島田 絢子(表参道店スタッフ)

愛媛県出身。大学では芸術学を専攻。
2015年よりかぐれ勤務。かぐれに出会い、手仕事と言葉を通じて日本の美しさを感じる毎日です。

今回のミーティングのテーマは「シャツの形と生地」。
それぞれが宿題として持ち寄った資料は、イラストやイメージボード、私物のお気に入りのシャツなど実にさまざま。順番にプレゼンを行い、理想のシャツのイメージを共有するところから始めました。

  • 私物のお気に入りのシャツ
  • 私物のお気に入りのシャツ

全員がプレゼンを終えたところで、町田さんから一言。
「今日、集まっているもののほとんどがブラウスです」
え!ブラウス?シャツって一体なに!?一同の驚きとともに始まった第2回、今回もぜひ最後までお付き合いください。

「ブラウスも広義ではシャツの1種として捉えられる場合もあります。でも厳密には違うんです。シャツは基本的には綿、場合によっては麻ですね。もともとは男性がスーツジャケットの下に着ることを想定して、袖や裾がやや長めに作られます。割とかっちりした印象のデザインと組み合わせからできているんですよね。生地から始まり、襟の形、カフスの形、前立てのデザイン……というように。組み合わせ次第で千差万別に存在します」と町田さん。

町田さん

「シャツが男性的なのに対して、ブラウスは女性的。ブラウジング(ベルトなどで服に膨らみを持たせること)からイメージできるように、綿や麻に限らず柔らかな素材感であることが多いですね。今回は、前回話し合った“かぐれらしさ”や、かぐれのお客様が手に取るものであること、そして柔らかさを重視していますね。皆さんが宿題として持参してくれたものもそれに当てはまっています。ということは、我々が目指しているものは厳密にはシャツではなく、『ブラウス』ということになりそうですね」。

町田さん

集まった私物のアイテムは、生地に触れるだけでなく実際に交代で試着することに。さまざまな形のシャツを体型も年齢も異なる複数の人が着用することによって、イメージがより具体的になります。その結果、同じ1枚の洋服でも、着る人によって見え方が大きく違うということを改めて強く感じたのでした。
なかでも注目の的となったのは、バイヤー・宮崎の古着シャツ。丈が短めでやや幅広いデザインのこのシャツは、着る人によって女性らしくもかっこ良くもなり、今後の製作の叩き台となることに決定しました。

  • 着る人によって見え方が大きく違う
  • 着る人によって見え方が大きく違う

あくまで叩き台ですから、より具体的な方向性を定めなければいけません。キーワードとして一番に上がったのはやはり「女性らしさ」。男性が着るシャツとは異なる、女性のためのシャツブラウスとはどのようなものなのか。男性らしいシャツが組み合わせでできるならば、女性らしいブラウスも組み合わせで生まれるはず。
そこでディテール案も話し合われました。襟の大きさや開き具合、背中にタックやギャザーを付けるのかどうかなど。

私はそのなかでも前立てに興味を持ちました。前立てとは、前開きのボタン部分の仕様のことを指します。
叩き台となったシャツは「裏前立ての襟」で、私自身のお気に入りのシャツもほかのスタッフがよく選ぶというシャツも同じ仕様でした。

裏前立ての襟

前立ては大きく「表前立て」「裏前立て」「比翼」の3種類に分けられます。
「表前立て」が最も一般的で、ドレスシャツからカジュアルシャツまで比較的幅広く使用されます。「比翼」はボタンが見えないデザインのため、フォーマルシャツやモード系のシャツに使用されます。そして「裏前立て」は、女性らしいきれいなデザインで、ややフォーマルなイメージにも用いられます。表前立てよりもすっきりと上品な印象で、比翼よりも日常使いしやすいデザインは、「女性らしさ」に繋がる要素かもしれません。
前立て一つでイメージが変わるシャツ。ディテールへのこだわりがいがありますね。「かぐれのワードローブとしてお客様に提案したいシャツ」という軸は忘れずに、理想のシャツへの夢は膨らむばかりです。

生地見本

形の方向性が見えたところで、話題は生地に移り、町田さんが選んできてくれた生地見本をみんなで触れて検討しました。
前回の話し合いで共有された「柔らかさ」や「透け感の少なさ」などを基に、すでに町田さんが絞ってきてくれましたが、それでも候補はたくさん。シャツ専門の生地メーカーが作っているコットン100%の柔らかな生地。あるメーカーの女性スタッフがお薦めしているという、まだ世に出回っていない生地。どの生地にも、背景に物語があることに驚かされました。
一つの洋服に、考えられないほどの人が携わっているのだと教えられます。改めてものづくりのエネルギーを感じるのでした。このエネルギーをお客様にお届けするべく、完成まで力を抜くことはできません。

生地見本とシャツの形になったものでは印象も違うだろうということで、今回は候補生地の決定にとどまりました。町田さんに候補生地で1stサンプルを作っていただいてから、再検討することになります。
次回はその1stサンプルを基に、より具体的なディテールや生地の修正ポイントを探っていきます。

次回は目に見える形となってシャツが登場します。ぜひお楽しみに。



かぐれ