オリジナルコスメ

小松和子さんはプロのヘアメイクとして、第一線で活躍されています。
しかしある時、化学物質過敏症(慢性または大量の化学物質に曝露された後、極めて微量の化学物質に過敏反応し、多岐にわたる症状を示す疾患)を発症し、そこからナチュラルコスメの勉強を始められます。 その後、縁あってかぐれ表参道店店長・渡辺敦子と出会い、今回の「KAGURE holistic beauty」シリーズを監修して頂きました。

渡辺:

まずは、現在のお仕事に至る経緯をお聞かせ頂けますか?

小松:

私が映画やドラマなどの現場に携わっていた当時、撮影では、最先端といわれるような高機能化粧品をずっと使っていました。昔は女優さんが泣きの芝居をすると、涙の跡が白く残るようなファンデーションしかなかったんですね。
ところがある時、私が25歳を過ぎた頃からそういった現象が起きなくなったんです。恐らくそれがシリコーン系合成ポリマーがファンデーションに配合され始めた頃だったんですね。肌へすっと伸びて使用感も良く、発色、崩れにくさも抜群。撥水効果も高いので、涙の圧でも白くなることはないのですが、そういった効果の反面、ファンデーションが取れにくいので、クレンジング剤も洗浄力の強いものでなければ落ちない。 気が付けばどんどん乾燥肌の人が増え、誰もがしっとり感が得られるケミカルな化粧品を求めるようになっていきました。私もヘアメイクという仕事柄、そういった合成成分が入った化粧品を毎日使い続けて、化学物質が体内にどんどん取り込まれていったんですね。
ある時から、ヘアスプレーを使うと気持ち悪いな、と感じるようになりました。電車に乗っても、隣のおじさんの整髪料のにおいで気持ち悪くなったり。これは、加齢臭ということではなくて(笑)、整髪料の化学的な臭いで気持ち悪くなるということです。香水や、百貨店の1階の化粧品売り場でも気持ち悪くなって、これは化粧品に原因があるのでは、と思うようになりました。
ただ、当時はまだ化粧品に全成分表示というのがされておらず(全成分表示は2001年から義務付けられました)、旧指定成分しか書かれていませんでした。化粧品会社に聞いても教えてもらえず、中に何が入っているのか知る術がなかったのです。ですから当時は、何が体調不良の原因か薄々気付いていても、はっきりとはしなかった。
もちろん、化粧品だけでなく、不摂生な生活も大きく関係していたと思います。連続ドラマに入ると、1日3時間しか寝られない日が何ヶ月も続きます。撮影に入る前は健康な髪の毛なのに、終わった頃には白髪が増えていたりね。そうとう命を削っている感じがしましたね。

渡辺:

それは20代の頃のお話ですか?

小松:

40歳を機に、ヘアメイクの仕事の中でも特別にハードなドラマや映画の仕事を辞めたので、それまでずっと、ウン十年です。さすがにしんどかったですね。若いスタッフと同じように働くから、最後の方は本当にしんどかった。

渡辺:

苛酷ですね。

小松:

若い時は、半分スタジオに住んでいるような感じでしたね。そりゃ体も壊すと思います。そんな生活の上に、普通の人よりも化学成分に触れる機会が多い仕事だったので、身体に負荷がかかったのでしょうね。もともとアトピーという体質もさらに症状を加速させたと思います。 最初は蚊に刺されたようなポツポツが身体に出始めて、そのあと微熱が5日に1回、3日に1回……最後は毎日ずっと出続けるようになった。そうなると、体力が落ちて風邪を引きやすくなったり、自律神経もやられたりするわけです。そうやって免疫力が落ちているところに化学成分を使うと、手の甲でファンデーションを混ぜただけで、5分も経たないうちに真っ赤になるような状態でした。

ハードなヘアメイクの仕事の中、化学物質過敏症を発症した小松さん。

渡辺:

その頃には、化粧品がそういった症状の原因だと気付いていたのですか?

小松:

そうですね、その頃にはもう全成分表示になっていましたから。
とはいえ、成分について詳しく教えてくれるようなところなんてなかったから、全部自分で調べるしかなかった。使ってみて自分が合わなかったものを、成分一つひとつ事典で調べて、これは天然なんだ、とかこれは合成なんだ、とか分かるようになった。

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