オリジナルコスメ

渡辺:

今でこそ、ナチュラルコスメやオーガニックコスメっていうカテゴリーができて、お店も増えて、ある程度分かりやすくなりましたけれど、当時はそういったこともなかったでしょうから、大変だったでしょう。

小松:

そう、本当に誰もいない状態で、参考にできるものが一つもなかった。ネットを見ても、一つの成分に関して色々な意見があって、どれが正しいのか分からなかった。
また当時は、ナチュラルな化粧品というと、自然派化粧品、無添加化粧品という言い方をしていて、ところが成分を見てみると、ケミカルなものが同じように入っていたりするんですね。
最初の頃は何を信じたら良いのか分からず、だいぶ翻弄されましたね。 でもそういう風に一つひとつの成分を見ていくことで、次第に自分に合うもの、合わないものが分かるようになってきました。自分の肌で実感して、試しながら調べていきました。

渡辺:

自分でそこまで調べて……って、なかなかできないことですよね。

小松:

そうですね。それからヘアメイクという仕事が良かったのか、化粧品をいっぱい持っていたので、色々試すことが可能だったということもあります。あるブランドのファンデーションが好きでずっと使っていたのですが、付けているそばから痒くてどうしようもなく、家に帰って強いクレンジング剤で落として、もう顔は真っ赤ですよ。
でもヘアメイクがこんな真っ赤な肌じゃ恥ずかしいということで、その赤みを消す為にまたファンデーションを厚塗りして……。もう完全な悪循環ですよね。一番ひどい時は、小指の爪くらいのかさぶたが顔中にできて、乾燥してぴりぴりして涙も止まらないくらい。肌だけじゃなくて、気持ち悪くなったり熱が出たり、具合が悪い日が毎日続いて、通勤の電車も一駅ごとに降りないといけない状態でした。

渡辺:

つらい……。

小松:

東洋、西洋、ありとあらゆる治療をしたけれど、ひどくなり過ぎて何も効かなかった。そういうひどい状態の時、仕事仲間には内緒で8ヶ月くらい仕事をお休みしました。そしてその期間に毎日ウォーキングをしてみたら、みるみる症状が良くなったんです。毎日2時間、8ヶ月続けたら、肌もきれいになったし、シミまでなくなったの。

渡辺:

えぇ〜、それはなぜなんでしょう?

小松:

ウォーキングによって代謝が上がって、自分の治癒力を高めたからでしょうね。私はその時初めて、自分の身体って自分で治すんだ、と思ったんです。

渡辺:

病院に行って薬をもらって、ということではなくて、歩くことで症状が改善されたんですね。

小松:

うん。今まで狂っていた身体が正常に戻ったんですね。あの8ヶ月は私にとって、精神も強くなったし、考え方も変わったし、身体に対する驚きを実感した期間でした。まずは自分の身体を知ることが大事なんだって。自分の具合が悪いのは、病気のせいだと思っていたけれど、不摂生の蓄積が身体を悪くしていたんだな、と。
だから、免疫力を落とさないような生活をするように普段から予防をしていかなきゃいけないし、身体に入れるものは負担がかからないものを選んだ方が良いと分かりました。まずはそれに気付くことが大事で、気付かないと何も始まらない。私の場合は、ウォーキングをして自分の身体が歴然と変わったことで気付くことができた。自分が悪かったんだ、って。
医師は、悪くなったのを良くしてくれるかもしれないけれど、現代の人って、病名がつかないような症状を抱えていることが多いと思うんです。それはストレスや生活習慣からきていて、結果、大病になって病名がつく。だけど、その前に自分で気付かなきゃいけない。
食べ物、生活習慣、睡眠、普段使っている生活用品……例えばシャンプーだったり化粧品だったり、そういったものが少なからず身体に影響を及ぼしているんです。便利な商品を使うことで、楽に美しくなっているけれど、それを求めることが私たちの身体を蝕んでいる。

渡辺:

本当にそうですね。

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